自己点検・自己評価
当校においては、2011年度より厚生労働省の指針である「看護師養成所の教育活動に関する自己評価指針作成検討会」報告書に基づき、教職員を対象とした評価を開始し、2022年8月に第5回目の評価を実施しました。以下にその結果を報告します。
教育活動を対象として教育理念、目的、目標の達成状況、教育課程運営、学校運営等の整備および実践、学生の学習支援の充実の程度等について、9カテゴリー(95項目)の評価表を用いて実施し、回答率は95.2%でした。
評価は4段階リッカート尺度を用いて「そう思う:4点」、「ややそう思う:3点」、「あまりそう思わない:2点」、「そう思わない:1点」と点数化し、各カテゴリーの平均値を示し、前回(2017年)と比較しました。表1・図1
さらに質問項目の多いカテゴリーについては、課題を明確にするために、関連する質問項目を分類しサブカテゴリーを設け分析を加えました。表2
前回との比較において、カテゴリーⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅶ・Ⅷでわずかに上昇、カテゴリーⅨで低下が見られました。3点以上を肯定的評価、3点未満を否定的評価として集計した結果、Ⅷ「地域社会・国際交流」・Ⅸ「研究」を除く7カテゴリーが肯定的評価となりました。
教育理念、目的、目標に関するカテゴリーⅠ・Ⅱおよび教育課程の経営に関するカテゴリーⅢは、前回よりも上昇しています。カテゴリーⅢ(29項目)を7つのサブカテゴリーに分類して分析した結果は、研究活動、臨地実習の充実に関するサブカテゴリーの平均値が全体の平均を下回っていました。この2つは前回調査(2017)でも低かった項目ではありますが、上昇しているのは、COVID19感染拡大により制約を受けながらも健闘した結果と考えます。引き続き、設置主体と連携した臨地実習指導の充実が必要です。
また、教育課程の構成が前回よりわずかに低下しているのは、新カリキュラムの開始、問題意識の高まり、教員の世代交代に伴う平均経験年数の低下も反映していると考えられます。
授業・学習に関するカテゴリーⅣ(17項目)では、3サブカテゴリーでわずかに低下しました。特に目標の評価とフィードバックは肯定評価となってはいますが
、授業評価の結果を十分に反映しきれていない課題が見られます。教員間での授業研究や評価を計画的に実践していくことが課題です。
経営・管理課程に関するカテゴリーⅤ(19項目)は、3サブカテゴリーがわずかに上昇していますが大きな変化はみられていません。今後加速化する少子化の進行や看護基礎教育をめぐる動向の変化に対応する長期的方針を早急に検討し、教職員が展望をもって教育実践に取り組む組織の強化を図る必要性があります。また施設設備に関しては校舎設備が老朽する中、学習環境整備に努力が必要と考えます。自己点検、評価体制に関しては前回よりわずかに低下しました。前回から期間があいてしまっていたこともあり、今後は定期的に実施し評価、改善に努めます。
地域社会・国際交流に関するカテゴリーⅧは、国際交流の体制では、前回同様に否定的評価となりました。海外からの留学生の受け入れ体制や、学生の留学希望に対応する体制の整備に着手できていないことが反映されています。地域社会との交流に関しては、わずかに上昇し肯定的評価になりましたが、まだ課題がある状況です。教育理念、目標に立ち戻り、対象を取り巻く社会状況に目を向け、地域包括ケアに貢献できる人材の育成にむけて、引き続き教育活動を発展させていく必要があると考えます。
研究に関するカテゴリーⅨでは、否定的評価になりました。この間、取り組みが十分に保証できなかったことなどが反映されていると思われます。研究交流集会や全国学会など、遠隔開催などにも発表・参加できるよう計画的に取り組みます。
2018年 | 2022年 | |
---|---|---|
Ⅰ 教育理念・目的 | 3.53 | 3.74 |
Ⅱ 教育目標 | 3.58 | 3.75 |
Ⅲ 教育課程経営 | 3.39 | 3.50 |
Ⅳ 授業・学習 | 3.35 | 3.36 |
Ⅴ 経営・管理課程 | 3.37 | 3.40 |
Ⅵ 入学 | 3.82 | 3.81 |
Ⅶ 卒業・就業・進学 | 3.10 | 3.40 |
Ⅷ 地域社会・国際交流 | 2.55 | 2.66 |
Ⅸ 研究 | 3.27 | 3.83 |
カテゴリー | 2017年 | 2022年 | サブカテゴリー | 2017年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|---|
Ⅰ 教育理念・目的 | 3.53 | 3.74 | 3.53 | 3.74 | |
Ⅱ 教育目標 | 3.58 | 3.75 | 3.58 | 3.75 | |
Ⅲ 教育課程経営 | 3.39 | 3.50 | 理念・目標との一貫性/明確性 | 3.38 | 3.49 |
教育課程の構成 | 3.80 | 3.76 | |||
教育計画 | 3.61 | 3.70 | |||
評価の体系 | 3.49 | 3.61 | |||
教育・研究活動の充実 | 2.90 | 3.06 | |||
臨地実習の充実 | 3.28 | 3.28 | |||
対象の権利擁護 | 3.51 | 3.64 | |||
Ⅳ 授業・学習 | 3.35 | 3.36 | 授業内容と教育課程の一貫性 | 3.32 | 3.53 |
授業の展開過程 | 3.44 | 3.41 | |||
評価とフィードバック | 3.08 | 3.02 | |||
学習への動機づけ | 3.63 | 3.59 | |||
Ⅴ 経営・管理課程 | 3.37 | 3.40 | 組織体制 | 3.54 | 3.55 |
施設設備の整備 | 3.16 | 3.28 | |||
運営計画と将来構想 | 3.25 | 3.35 | |||
自己点検・評価体制 | 3.27 | 3.18 | |||
Ⅵ 入学 | 3.82 | 3.81 | 3.82 | 3.81 | |
Ⅶ 卒業・就業・進学 | 3.10 | 3.40 | 卒業時 | 3.26 | 3.50 |
卒業後 | 2.94 | 3.30 | |||
Ⅷ 地域社会・国際交流 | 2.55 | 2.66 | 地域社会との交流 | 2.88 | 3.10 |
国際交流の体制 | 2.31 | 2.33 | |||
Ⅸ 研究 | 3.27 | 2.83 | 研究の保障 | 3.27 | 2.83 |